窓や玄関ドアの上部など、建物から突き出して設置された小さな屋根を「庇(ひさし)」と言います。
雨や日差しから住まいを守る大切な役割を担っていますが、あまり注目して見る部分ではないため、知らないうちに劣化が進んでしまうケースも少なくありません。
今回は庇の役割やよくある劣化症状、メンテナンス方法、修理費用の相場などについて詳しくご説明いたします。
庇とは、建物の外壁から突き出して取り付けられた小さな屋根のような構造物のことです。庇が存在しない住宅もあります。
庇は窓や玄関ドアの上部に設置されており、次のような働きをしています。
・雨水の浸入を軽減
窓やドアの上に庇があることで、開口部から建物内部へ雨が吹き込んでしまうのを防止できます。
・日差し・紫外線を遮る
窓から入る夏場の強い日差しを遮り、室内温度の上昇を和らげる効果があります。
・外壁・サッシの保護
外壁・サッシが雨や直射日光に晒される時間が減り、劣化スピードを抑えることができます。
庇の上面は雨水が溜まりやすい構造のため、勾配が正しく付けられていないと雨水が滞留して、庇の腐食やサビの発生などに繋がってしまいます。
また、通常は庇と外壁の接合部にシーリング材を充填したり、板金を取り付けて隙間を覆いますが、このような防水処理が不十分だと隙間から内部に雨水が浸入し、雨漏りに発展する可能性もあります。
庇は太陽の熱を常に受けているため、紫外線によって塗装の剥がれやひび割れを引き起こします。塗膜による保護機能や防水機能が低下すると、庇そのものにサビや割れが生じる原因となってしまうため、定期的な塗り替えが必要です。
特に金属製の場合は、サビを放置しているどんどんサビが広がっていき、やがて腐食や穴開きに繋がるため早めの対処が重要となります。
台風や強風によって劣化が進行したり、飛来物が当たって庇の変形やへこみが発生するケースもあります。また、積雪が多い地域では、雪の重みで破損や庇が外れるなどのトラブルが起こる可能性もあります。
老朽化が進んでいると自然災害による被害も受けやすくなるため、定期的な点検やメンテナンスを行って、庇の耐久性を維持することが大切です。
庇の修理方法は劣化具合によって変わります。また、庇が高所に位置する場合は、別途足場代が20万程度かかる場合もあります。
塗膜の色褪せや汚れ、軽度なサビなどは塗り替えによるメンテナンスで対応が可能です。
塗装の際は、汚れや古い塗膜などをしっかりと洗い流し、サビも綺麗に除去することが重要です。サビの除去が不十分だと、早期にサビが再発してしまいます。
庇の塗装にかかる費用は、施工面積や使用する素材などによって変動しますが、2万円~5万円程度が相場です。
広範囲に劣化や破損がみられる場合でも、下地の状態が良好であればカバー工法が行えます。
カバー工法とは、既存の庇を撤去せずにその上から新しい庇を作る方法のことです。既存の庇を撤去する手間や費用がかからないため、コストを抑えてリニューアルすることが可能です。
庇のカバー工法にかかる費用は、施工面積や使用する素材によっても異なりますが、5万円~15万円程度が相場となります。
経年劣化や損傷が激しく、下地や取り付け部分まで大きくダメージが及んでいる場合は、庇ごと新しいものに交換します。
既存の庇を一度撤去するので下地の修繕も行うことができ、庇全体の耐久性を向上させられるメリットがあります。また、素材やデザインも変更できるため、美観や性能を高めることも可能です。
庇の交換費用は、施工面積や使用する素材、下地の状態などによっても変動しますが、10万円~40万円程度が相場となります。
庇は、雨や日差しから家を守るだけでなく、外壁や窓などの寿命を延ばす役割も果たしています。
普段の生活で庇の劣化を気にする方は少ないかと思いますが、庇の劣化や破損を放っておくと、建物寿命の低下や雨漏り発生などのトラブルに繋がる恐れもあるため、適切なメンテナンスが大切です。
庇の劣化が気になる方や、新しいものに交換したいとお考えの場合は、ぜひ弊社までご相談ください。お客様のご希望に沿ったご提案をさせていただきます。