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屋根カバー工法とは

屋根カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずに、その上から新たな屋根材を被せる工事のことです。

葺き替えの場合は既存の既存の屋根材や下地をすべて撤去し、新しい屋根材・下地材を施工する方法になりますが、カバー工法であれば撤去費・廃材処分費を抑えられる特徴があります。

カバー工法が向いているケース

次のようなケースはカバー工法がお勧めです。

・既存の屋根材や下地の劣化が極端に進んでいない
・屋根材の耐用年数を迎えているが、下地はまだ機能している
・予算を抑えて屋根リフォームをしたい
・できるだけ工期を短くしたい

カバー工法は既存の屋根材や下地を残したまま新しい屋根を作るため、既存の屋根の劣化具合によってカバー工法が行えるかが変わってきます。屋根の破損などがみられる場合でも、下地がしっかりしていればカバー工法は可能です。

また、予算や工期を抑えて屋根をリニューアルしたいという方にも、カバー工法はオススメの方法です。

カバー工法が向いていないケース

・既存屋根や下地が著しく劣化している
・雨漏りしている
・日本瓦など重量のある屋根材
・一度カバー工法を行っている屋根

前述したように、カバー工法ができるかは劣化状況によって左右されるため、あまりにも腐食や雨漏りが進行している屋根はカバー工法は行えません。その場合は、屋根材を撤去して下地から新しいものに交換する葺き替え工事が必要となります。

その他にも、重量のある屋根材や一度カバー工法を行っている場合は、カバー工法は向いていません。カバー工法は屋根が二重構造になるため、どうしても屋根や建物への負荷が増えてしまいます。

重たい瓦屋根や既に二重になっている屋根にさらに屋根を被せてしまうと、建物への負荷も増加し、耐震性に影響を及ぼす恐れがあります。

屋根カバー工法のメリット

撤去費・廃材処分費を大幅に削減できる

葺き替えの場合は、既存屋根の撤去費・廃材処分費がかかるため、工事にかかる費用も高額になってしまいます。

しかし、カバー工法であれば既存屋根を撤去する必要がないため、撤去費・廃材処分費を大幅に削減することができるメリットがあります。

工期が短い

カバー工法の工期は5日～7日程度が一般的です。葺き替えの場合は7日～10日程度かかるため、少しでも工期を短くしたい方にはメリットのひとつと言えるでしょう。

ただし、工期は屋根面積や天候などによっても変動します。

断熱性・遮音性の向上

屋根が二重構造になるため、断熱性・遮音性が向上する可能性があります。断熱性が高まれば夏場の室内温度の上昇を抑えられ、遮音性の向上は屋根に当たる雨音が低減できるメリットがあります。

生活や近隣への影響が少ない

屋根を完全に撤去しないため、工事中も比較的生活への影響が少ないと言えます。また、葺き替えに比べてホコリや騒音の発生も軽減できるので、ご近所への影響も最小限に抑えることが可能です。

屋根カバー工法のデメリット

下地の状態を確認しにくい

既存の屋根材を剥がさないため、下地や屋根内部に潜む劣化や腐食を確認しにくいデメリットがあります。もし重大な劣化に気が付かずにカバー工法を行うと、屋根内部で腐食が進行したり、雨漏りが発生してしまう恐れがあります。

このような事態を避ける為には、カバー工法の実績もある知識と経験が豊富な業者に依頼することが大切です。

屋根の重量が増える

屋根が二重構造になるため、屋根の重量が増えてしまうと、建物の耐震性の低下に繋がる恐れがあります。そのため、元から耐震性に不安がある建物の場合は要注意です。

カバー工法を行う際はできるだけ屋根への負荷を抑える為に、軽量なガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなどを被せるのが一般的です。

施工できない屋根材や状況がある

前述したように瓦屋根のような重量のある屋根や、大きな腐食が広がっていたり、歪みが発生している場合などは、カバー工法では対応できない可能性があります。

将来のリフォームで撤去費がかさむ可能性

一度カバー工法を行った屋根は、重量の関係から再度カバー工法を行うことはできません。そのため、将来的に再び屋根リフォームが必要になった場合、二重構造の屋根を葺き替えることになります。

そこでデメリットとして上げられるのが、費用面に関する点です。屋根材の撤去・処分費用が2倍かかってしまうため、トータルコストも高額なる可能性があります。

屋根カバー工法で使用される屋根材の特徴

カバー工法で使用する屋根材は軽量な素材に限られ、主にガルバリウム鋼板、アスファルトシングル、スレート屋根が用いられます。

それぞれの特徴は次の通りです。

屋根カバー工法の費用相場

カバー工法にかかる費用は、100万円～150万円程が相場です。屋根材の種類や施工面積、勾配などによって変動します。

葺き替えと比べて撤去費用がかからない分、全体的に割安になる傾向がありますが、劣化状態次第では修繕費用を要するケースもあるため、あらかじめ覚えておくようにしましょう。

カバー工法の施工の流れ

まず足場や養生ネットを設置し、既存屋根の劣化部分を補修します。次に既存屋根の上に新しい下地材や防水シートを敷いて、さらにその上から新規屋根材を取り付けていきます。

屋根材の設置まで終わったら、構造上生じてしまう屋根の隙間に雨が入り込まないように、シーリング材や板金を施工して完了です。

このように雨の浸入を防ぐ為に行われる作業や工夫のことを「雨仕舞」と言い、防水性を高めるうえで非常に重要な工程となります。雨仕舞を怠ると、雨が屋根内部に吹き込んでしまい、早期に雨漏りを引き起こしてしまいます。

また、カバー工法を行っている二重構造の屋根は、通常よりも雨漏りの原因や雨の浸入経路が判断しにくくなるため、原因特定や修理までに時間を要する可能性があります。

火災保険を使ってカバー工法はできない？

火災保険とは、台風や強風などの自然災害によって受けた被害を補償するものです。屋根修理においても、強風で屋根材が飛ばされてたり、台風時に板金に物が当たって破損した等のケースで火災保険を利用できる可能性があります。

そこで重要なポイントが、火災保険が適用される工事の条件として「状態を元に戻す工事」という規定が設けられており、「グレードアップする工事」は保険の適用外となる点です。

カバー工法の場合は屋根が二重構造になり、状態を元に戻す工事とは言えないため、グレードアップする工事とみなされます。そのため、火災保険を使ってカバー工法を行うことはできません。

保険会社によっては、「状態を元に戻す工事部分については補償するが、グレードアップする工事部分については補償しない」といったように、工事内容を分類して保険を申請できる場合もあります。

自然災害の後など、火災保険の利用を検討している方は、再度加入している火災保険の契約内容を確認しておくようにしましょう。